漆の歴史は古く、日本では縄文時代には用いられていたと言われています。
塗料や接合剤として、仏具や建造物、武具にいたるまで、幅広く用いられてきました。
漆塗のうつわが、庶民の間で日常的に使われるようになったのは江戸時代以降と言われます。
技術の発達に伴い量産化が加速、生活雑器として普及して行きました。
戦後も、経済の成長に合わせて需要が拡大、産地も大きく発展しました。
一方で、中国産をはじめとした安価な輸入品が出回るようになると、
価格競争がはじまり、産地は疲弊して行きました。
さらに、木の代わりとして合成樹脂や、漆に代わってウレタンや合成漆などが用いられた大量生産品が現れます。
本来の漆のうつわは、木地づくりから塗りまで、大変時間と手間がかかるものです。
工業的に生産される大量生産品には、価格で及ぶべくもありません。
本来の漆のうつわは高級品として扱われるようになってしまっているのが現状でしょう。
有史以来、日本の生活と密接に関わってきた漆は、遠い存在になってしまいました。
秋田県の南東・湯沢市の川連町。
鎌倉時代頃に武具に漆を塗ったのが起源とされる漆器の産地です。
江戸時代から漆椀の生産がはじまり活発化、
戦後には、手頃な価格の多産品の産地として栄え、日本各地に運ばれました。
今でも川連は、堅牢で実用的な漆器の産地として知られ、伝統工芸の指定を受けています。
漆器は工程ごとに分業化され、産地も分業化されているのが一般的ですが、
(福井県の山中は木地作りなどで知られます)
川連では、地元産の木材を用い、木地造りから漆塗りまでを手がけます。
また、割れに強い木地を用いることで堅牢さを保ちつつ、
塗りの工程を簡略化することで、手頃な価格を維持しています。
高価な漆器には及ばない部分もありますが、
毎日の食卓で安心して使っていただける、実用的な漆のうつわです。
私たちも、日常的に使っていただける本物の漆のうつわを
暮らしに取りいれていただきたいという思いで、川連漆器をご紹介しています。
漆のうつわは割れたり、欠けたりしても修理できる利点がありますので、
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。