石見焼
世界遺産でもある石見銀山の名で知られる、島根県西部・石見地方。
江戸時代後期に始まる焼き物の産地として知られます。
△ 温泉津焼の登り窯の屋根に葺かれている石州瓦の赤瓦
山陰地方を訪れると、多くの民家が赤茶色か黒色の瓦葺きの立派な家構えです。
この瓦は石州瓦(せきしゅうがわら)と呼ばれ、多くはここ石見で作られてきました。
瓦の茶色と黒色は、同じ島根県内の来待という土地で採れる石をベースに作られ、
耐酸性や耐水性を高める働きをします。
また、石見の陶土は鉄分が少なく、高温での焼成に耐えることから、
硬質かつ堅牢で、耐水性にも優れます。
石見焼は、丈夫さを売りに各地に運ばれました。
宮内窯
江津に窯を構える宮内窯。
宮内謙一さんが1970年に窯を築きました。現在は二代目孝史さんが窯を守ります。
△宮内孝史さん。
石見ならではの大甕づくりの名工として知られた宮内謙一さん。
謙一さんは福岡県・小石原焼にロクロ職人として出ていた時期があり、
その経験を生かして、小石原焼で用いられる白化粧(白い色の土で陶土を覆う)をはじめ、
様々な装飾技法を導入しました。
△宮内窯に置かれている古い大物。後ろに写っているのが登り窯
△今も作られる石見焼の大物。ガス窯で焼かれる。
その宮内窯とのコラボレーションで生まれた、もやい工藝オリジナルの洋食器シリーズ。
石見の土の性質を生かし、ピューター皿をモデルにした平たい洋皿を提案したものです。
白化粧をすることで生まれる白色は柔らかい色で、模様こそ無いものの、
シンプルで使いやすく、磁器とは違った温かみが感じられる器です。